耐火物の更新は、十数年前までは殆どの工業炉で、耐火物の状態に係らず計画的に行われていた。最近では耐火物の品質向上に加え、担当者の技術的躍進で耐火物そのものの延命を図っており、部分的な更新に変わっている。
築炉においては、可動しない壁、床、天井部等は、定形品(れんが等)での施工から不定形品(キャスタブル等)での施工に変わってきている。定形の場合は組み合わせの為、一部が脱落すると全体が緩むが、不定形は一部の焼損だけで、炉全体に影響を及ぼさない。
定形品から不定形品への移行は、最近更に進んでいる。これは不定形品が使い易いという事ではなく、定形品の施工を行なう築炉工が減少した事が、大きな原因となっている。20年前には、築炉工が全国に2200人いると言われていたが、現在では970人程度となっている。築炉業者は後継者の育成を行なってきているが、重労働の上、時代背景も手伝い、なかなか育っていないのが現状である。